最初は楽しく行っていた事だったのに、
「執着し過ぎて辛い……」
「執着してしまって上手くいかない……」
こんなふうに思うようになった事はありませんか?
そんなあなたに『千の希望』の世界を生きるキャラクターが繰り広げるお話が、思考のヒントになるかもしれません。
今回のお話では、次のような事を書いています。
- 【無理をし過ぎている事を自覚する】
- 【迷った時は最初の目的を思い出す】
- 【大切に思う気持ちをいつも忘れないようにする】
それでは、キャラクターの会話をお楽しみください。
【無理をし過ぎている事を自覚する】
日が傾きかけた頃、仕事先から帰宅した男は、ドアを開けて、疲れた声で言った。
「帰ったぞ」
「おかえりなさい」
男の妻が、真顔で出迎える。
「ほら、今月の給料」
革袋に入った金を受け取り、妻は中身を確認した。
「……こんなに少なく……」
ぽつりとつぶやいた妻の言葉に、男は苛立った様子を見せる。
「仕方ないだろ、今、店の売上が悪いんだから。店主も嘆いてたよ」
「でも、これじゃ……壊れた物の買い替えもできないじゃない」
「そこはお前が頑張って節約してくれ」
男がそう言うと、妻は大きな声を出した。
「毎日頑張ってるわよ! でも、こんなに少ないお金じゃ、やりくりも限界よ!」
怒鳴られた事で、苛立っていた男も声を荒げる。
「ホントに頑張ってるのか!? この間も少し傷んだからって、新しい服を買ってたじゃないか!」
「少し傷んだって……破れた服で生活しろって言うの!? 一体何年欲しい物も買わずに生活してると思ってるのよ!!」
妻が色々と我慢していた事は十分理解していたが、心に余裕のない男は、ドカッと椅子に座ると、テーブルを強く手で叩いた。
「うるさいな! 酒用意しろ!」
「あなたがお酒毎日飲むから、お金貯まらないんじゃない!!」
「息抜きくらいさせろよ! 俺のせいにするな!」
横暴な男の言葉と態度に、妻は苦しそうな顔をし、目に涙を溜める。
「もう……知らない!!」
涙を流しながら、妻は部屋を出て行った。
「くそっ! ……昔はこんなじゃなかったのに……なんでこうなったんだ……」
テーブルの上には、結婚した時に画家に描いてもらった、夫婦で寄り添うように並んでいる絵が置いてあった。額に入っているその絵は、今とは違い、二人とも笑顔で楽しそうにしている。
「くそ……」
いたたまれなくなった男は、頭をガシガシとかいたあと、家を出た。
【迷った時は最初の目的を思い出す】
「わあ!」
男が外に出た瞬間、女性の大きな声と共に、ドサリという音が聞こえた。見ると、家から少し離れた場所で、美しい女性が地面に転がっていた。その側には、棒術の棒を持った、銀髪つり目の長身の男が立っている。
「何やってんだよ……」
呆れた顔をしている銀髪長身の男に、美しい女性は、申し訳なさそうな顔をした。
「ごめん……」
「いや……痛かったろ? 大丈夫か?」
銀髪長身の男が、倒れている美しい女性に手を差し伸べると、相手はその手を取り、笑顔を見せた。
「ありがとう!」
そんな二人の姿を、男はじっと見ていた。
「そうだ……最初は……守りたかったんだ……なのに……いつの間にか俺は……相手を守る為じゃなく……自分の立場を……守る為に……」
自分の過ちに気づいた男は、近くに居るであろう妻を探した。すると、家の花壇に腰かけている妻を発見した。
「おい!」
「あなた……」
男は走って妻の元へ行き、頭を下げた。
「悪かった! 俺は……いつの間にか目的がすり替わって……お前にひどい態度を……」
頭を下げたまま、苦しそうな表情をしている男を、妻は見つめた。
「……」
反省している様子の男に、妻はゆっくりと近寄る。
「私こそ、カッとなってあれこれ言ってごめんなさい。少しくらい服が破れてても、そんな事を気にするんじゃなくて、節約すれば良かったのかもしれないわ……」
そう言われ、男はバッと顔を上げた。
「いや! お前は十分頑張ってる! 俺がもっと頑張るべきだったんだ!」
「あなた…………じゃあ、お酒止める?」
妻の提案に、男は一瞬、ビクッと体を動かすと、視線をそらして続けた。
「酒……は…………減らす……」
「もう!」
息抜きの大好きな酒を止めるのは、さすがに辛いようだ。
「急に止められないだろ!」
「ふふ! まあね。無理しても続かないしね」
長年連れ添った男の性格を理解している妻は、クスクスと笑っている。
「でも、今までよりは頑張るからな!」
男は妻の両肩を掴み、強い目で相手を見つめた。
「私も、もっと何かできないか、考えてみるわ」
「一緒に考えよう」
「ええ!」
二人は微笑み合い、久しぶりに穏やかな雰囲気に包まれていた。
【大切に思う気持ちをいつも忘れないようにする】
男と妻の近くで、転んで手をついた事で擦りむき、ケガをした美しい女性の手を、銀髪長身の男が手当てしていた。
「あら、かわいい恋人同士ね」
妻のその発言が聞こえた銀髪長身の男は、赤面する。
「!? 違うから! そんなんじゃねえよ!」
声を荒げる銀髪の男とは対照的に、美しい女性は淡々と答えた。
「恋人じゃないです。ただの仲間です」
その態度と言葉が気に入らなかったのか、銀髪長身の男は不機嫌そうな顔をする。
「ただの仲間って……」
「ん? そうだよね?」
「そう……だけどさ……もっと照れるとかさぁ……」
二人が話していると、黒髪の可愛い顔をした青年が現れた。
「クリアー、フィックスさーん、宿この先にありましたよー……って! クリアー手、大丈夫!?」
「えへへ、転んじゃって!」
恥ずかしそうにする美しい女性の隣で、まだ、やや不機嫌そうな顔の銀髪長身の男が、手当に使った包帯をカバンに入れながら話す。
「処置はしたから、大丈夫だぞ」
「そうですか、……クリアー、痛くない?」
心配そうに見つめてくる黒髪の青年に、美しい女性は笑顔で言った。
「うん!」
「大きなケガじゃなくて、良かった」
ホッとした様子で、黒髪の青年は優しく微笑む。
「……心配してくれて、ありがとう」
黒髪の青年の気持ちに、顔を赤らめ、美しい女性は嬉しそうにしていた。そして、三人は宿のある方向へ去って行った。
「三角関係かしら……あの背の高い男の人、素直じゃないわねー。あれじゃ黒髪の子に持っていかれるわよ」
去って行く三人の背中を見つめながら、感想を述べる妻に、男は自分の事を思い出す。
「男はプライドがあるからな……気があっても、素直になれないのはわかるよ」
「あなたも昔、あんなだったものねー」
「う……」
二人の過去を思い出し、妻はまたクスリと笑った。
「素直じゃなくなると、さっきの私達みたいになっちゃうのにね」
「そうだな……これからも気をつけよう……いつまた気持ちが、すり替えられてしまうか……わからないからな」
男は拳を握り、今度こそ妻を大切にする事を、心に固く誓うのだった。
まとめ
今回のお話では、次のようなテーマの会話が繰り広げられました。
-
- 【無理をし過ぎている事を自覚する】
(過剰なものが、自分や周囲を苦しめていませんか?) - 【迷った時は最初の目的を思い出す】
(こうしようと決意した一番最初に、あなたは何を思いましたか?) - 【大切に思う気持ちをいつも忘れないようにする】
(その執着は、愛を忘れた事で強くなっていませんか?)
- 【無理をし過ぎている事を自覚する】
あなたの心には何が残りましたか?ぜひ、色々と考えてみてください。
この小説が、あなたの悩みの解決のヒントになれると嬉しいです。
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